経営おせっかい情報

税理士が優しく教える売上原価と資金繰りの関係

おせっかい税理士の坂田和基です。

今日は売上原価について話をしたいと思います。

売上原価とは?

そもそも、みなさんのお店の売上原価って把握していますか?
売上原価ってよくわからない、原価?売上?みたいな人もいると思いますが
簡単にひとことでいうと、売れたものに対する元の値段 が売上原価です。
これは重要なポイントです。

例えば、100円でコーラを仕入れて、110円で売ったとしたら
100円(元の仕入れ値の値段)が売上原価になります。

なお、売れた時点で経費になるので、売れていないものはまだ原価にはならないということを注意して覚えておいてください。

売上原価というのは経営において、すごく大事なんです。

例えば、昔僕が大学生の頃の話ですが、小田急百貨店の5階ぐらいに喫茶店があって、そこでコーラが1,000円で売っていたんです。
1,000円のコーラって何だろう!?と。
近所のオッケーストアに行くと、100円ぐらいで1.5リットルのコーラが売っているのに、なんで1,000円で売っているんだろうって当時は思いました。

多分、仕入れの値段は変わらないと思うんです。
その喫茶店でコーラを頼むと、90円ぐらいで仕入れているコーラを
1000円ぐらいで売っているので、喫茶店は900円ぐらい儲けるんです。

逆に、オッケーストアで売っているコーラって、90円のやつを100円で売っていたりするので、お店は10円しか儲からないんです。

そうすると、儲けが90倍ぐらい違ってきます。
1杯売れただけで、90倍利益が違うんです。

この売上原価をどういう風にしていくのかということがすごく大事なんですね。
要は事業に付加価値を付けるということです。

小田急にある喫茶店なんだから高いんだぞ、みたいな付加価値をつけていく方法や、あるいはとにかく安く買ってもらって、たくさんの人に買ってもらうというように、事業のやり方を決めるのはすごく大事なことです。

どっちがいいというわけではありませんが、1杯で90倍の利益=90本売ったのと同じくらいになるやり方もあるんだよということです。

逆にもうひとつ例を挙げると
例えば、10円のうまい棒を11円で売るのか、12円で売るのかの違いです。
11円で売ると利益は1円ですが、12円で売ると、利益は2円なんです。

1円しか違わないですが、利益は2倍になっています。これが売上原価で
この違いって経営に対してすごく大きなことで、いやちょっと値上げしただけだからあんまり変わらないよね?ではなく、1円値上げしただけで利益が倍になる可能性がある、ということが売上原価の大切なところです。

ですので、もし自分のところの売上原価がよくわかってないよっていう人がいたとすると、そもそも経営してないよねとはっきり言えるレベルです。

うちの毎月の原価なんてわかってないし、なんか税理士が作って来るけど、そんなのも説明もされないし、見たこともないよ!売り上げと仕入れって書いてあるけど、なんだかよくわからないし、利益だけは見てるよっていう方がいたとするなら、それはもう経営しているのではなく、ただ店をやっているだけです。正直その状態では、改善もしないし近くに同じようなお店が出来たら大体潰れます。ほとんどの会社やお店はちゃんと経営していないので潰れています。

売上原価を考えることは「事業の付加価値をいかに高めていくか」を考えることでもありますので、きちんと売上原価を見ていきましょう!

売上原価を把握しましょう!

売上原価を把握することのメリットとして以下の4点があります。

1.資金繰りの見通しが持ちやすくなる

薄利多売であれば大量に仕入れないといけないので、大量に仕入れるために、どのぐらいお金が出ていき、どのぐらいでお金が入ってくるから、どのぐらいまでしか仕入れられないよといったことが把握できます。
このぐらい利益を出したかったら、このぐらいお金が必要だよ、ということが把握できるわけです。

100円のコーラを1,000円で売って1万円ぐらい利益を出したいのであれば、10杯ぐらい売ればいいので、1,000円ちょっとあれば仕入れは終わります。

ですが、100円のコーラを110円で売って1万円の利益を出したい場合には、1,000倍売らないといけないので、100万円ぐらい仕入れが必要になります。このように、どのぐらい利益を出したかったら、どのぐらいお金が必要だなといういうのが分かってくるようになります。

原価率を分かっていなければ、どのぐらい仕入れていいのかも分かりません。とりあえず仕入れてみたということでは、経営は絶対によくならないし、お金がない!という状態になってしまいます。

2.経費の見通しができる

どのぐらいの利益が出るかというのが分かって来るので、これぐらいの原価で、他の経費はこれぐらいじゃないといけない、というのも分かって来るようになります。

3.販売価格を決定する基準を持てる

今のうちの原価率だったら、100円を110円で売っていたのを、120円にするだけで利益が倍になる、それぐらいならたぶんお客さんもみんな買ってくれるよね?ということが分かったり、あとは商品の構成で卵を1円にして、他の商品を高くする等の戦略が立てられる=販売する基準が持てるようになります。

今は何となくこれぐらいだったら良いだろうと適当に買っているんですが、どのぐらいの利益を出すためにどれぐらいの販売価格でというものがしっかりと基準を持てるというのが、売上原価を把握するという一つの意味だと思います。

4.損益分岐点がわかる

損益分岐点という言葉を初めて聞いたという人もいると思います。
正直僕も会社に勤めていた時はあまりよく分かっていませんでした。
今は自分でサポートするようになって分かりましたが、どれだけ売り上げがあればトントンになるか。トントンになる分岐点のことです。
トントン分岐点でもいいですが笑 この原価だったら何個売ったらいくら利益が出るから、売上がいくらあれば家賃等も含めてトントンになるねということが分かります。

それが分からないと、実際に出ていく分と入ってくる分でタイムラグがあったりするので、本当にお金が儲かっているのかどうかが分からないんです。
その損益分岐点が分かるようになります。
今月の売り上げ目標は、とりあえず損益分岐点をクリアしたので、ここからはもうあとはひたすら利益を出すだけというのが分かると、毎月の経営も気持ちが楽になるんじゃないでしょうか。

原価率は会社ごとに様々です

原価率=原価÷売価×100

飲食業:15~35%
卸売業:75~85%
小売業:50~75%

の会社が多いと言われています。

例えば300円で仕入れた食材で作った料理を1,000円で売ったら、
300÷1000×100=30%

原価率は会社やお店によっても様々です。

やり方によっても変わってきます。例えば飲食店でも原価率0というところもあります。原価率0ってなに?と思いますが、スナックでお客さんがお酒やつまみを持ってきて、ママが他のお客さんにも渡すというモデルらしいです。そういうモデルもあるんですね。

まず簡単なセオリーでいけば、当然業界のこれぐらいの平均値であればうまくいくというのもありですし、本当に独自性を強めて、うちは80%の売上原価でやっていく、飲食店だけど8割でやっていくというところもあれば、逆に売上原価が0%の飲食店もあったりと、やり方は様々です。

自分たちはどの原価でいくから、どんなビジネス構造にするかと考えることが大事です。
紹介した数字はあくまで参考値ということで覚えておいてください。

売上原価
こんな時には資金繰りに注意!

・原価率が高い商品

売上原価で資金繰りというのが結構怖いです。特に原価率が高い商品
例えばうまい棒を9円で仕入れて、10円で売る場合、原価率が90%もあると、大量に仕入れて仕入れた分だけ最初にお金が無くなってしまいます。
10,000本仕入れて、10,000本売るとしても、10,000本仕入れた時点で10万円が無くなって、それでどのぐらい売れるのかなって。やっと10,000本売り切ったとしたらようやく11万円入ってくると。その間に10万円がなかなか元が取れないわけです。10万円元を取るには9,000本ぐらい売らないと元のお金は戻って来ません。そうなってくると、なかなかお金が手元になくなってしまうので怖いです。

・在庫を抱える場合

在庫を抱える場合は結構最悪で、手元からお金が無くなります。100万円分仕入れたら、手元から100万円が無くなります。しかも、それが売れるまでは経費にもならない。売れるまでは経費とみなされないので、あなたは他のところで儲けていますよね、税金としてお金もらいますと言われてしまうんですね。

どこかで100万円利益を出しても、その分他のところで要らない商品を100万円分仕入れてしまっていたら、プラスマイナス0です。だとしても、税金としては売れた利益の100万円から、30万円の税金が来るわけです。
そうすると、0なのに30万円の税金なので、マイナス30万円になってしまいます。こういったことが売上原価は怖いので。もし在庫を抱えるのであれば、本当に原価率をよく考えてほしいなと思います。

資金繰りの関係が怖いですので、しっかりと自分たちの売上原価を考えて
不良在庫になってしまったら、本当に売れない商品は捨ててしまったり、とても安い金額で売ってしまうのもありだと思います。

そういったことをしっかりして、原価と資金繰りの関係を合わせて考えるということが大事になります。

是非身近に税理士さんがいるのであれば、一緒に考えてもらったり、自分の会社の経理部長さん等と一緒に考えていただくことが大事になると思います。

経営者であれば是非とも、売上原価をしっかり考えてください!

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