経営おせっかい情報

法人化の3つのタイミング

今日は法人化する3つのシグナルについてお話をしていきます。

「会社が大きくなったら法人化する」

「かっこいいから法人化する」

など、さまざまな理由があると思います。

何のために法人化するのか?

・節税のため
・信用のため
・モチベーションのため

この3つについて説明をしていきます。

節税のため

まず、「節税のため」ということについてです。法人化する際の相談では、「どちらのほうが税金的にお得ですか?」という質問が圧倒的に多いです。私の感覚では7割8割の方が、「法人化=節税」と思われているようですね。

個人事業の場合は稼げば稼ぐほど税率が上がっていきます。この税率は住民税と所得税を合わせて最高で55%ですので、半分以上が税金で持っていかれてしまうことになります。

逆に、法人(資本金1億円以下の中小企業)の場合は、所得の段階によって変わりますが、実効税率が約22%~35%ぐらい、最高でも35%ぐらいとなっていますので、こちらのほうが明らかに税率が低くなる可能性があります。

そうなると、「その分岐点はどこなんだ?」ということが気になりますよね?

利益が600万を超えるか超えないかというところがポイントです。
利益が600万を超えている場合は法人化したほうがいい可能性が高いです。

ただ、これは結構複雑なんです。

法人の場合、法人税を払いますが、それ以外にも、例えば、自分に給料を払った場合は所得税が生じます。そこに住民税や社会保険が生じます。

個人の場合は、自分が儲けた利益に対して、所得税、住民税、国民健康保険、国民年金がかかってきます。

この4つを全部比べなければならないのですごく難しく感じますね。ただ、私は皆さんによく言っているのですが、実は、そんなに出ていくお金は変わらないです。

所得税や法人税だけで比べれば、当然、所得が上がれば上がるほど、法人税で払ったほうが税金としては得になりますが、実は、社会保険というものが意外に曲者なんです。

社会保険ってすごく高いんです。

例えば、給料が50万だとすると、大体30%に社会保険がかかってくるので、約15万円ほど社会保険がかかります。3割かかってしまうことになりますね。

ですので、あまり変わらないのです。

「法人税・所得税・住民税・社会保険」と「所得税・住民税・国民健康保険・年金」を合わせたときに、払う金額はそれほど変わりません。

ただ、利益が600万を超えてくると内訳が変わります。今まで税金や健康保険に払っていたものが、実は、そこから社会保険、特に、厚生年金部分に充当される金額が増えてくることになります。

例えば、税金を含めて全部で200万円払うときに、個人の場合は年金部分は国民年金だけですので、年間で20万ぐらいです。しかし、法人化した際に給料でその分を取っているとすると、実は、厚生年金部分が60万ぐらい占めていたりするんです。

ということは、どちらにせよ200万払って出ていってしまうのですが、将来自分のために掛けているお金が、法人のほうが圧倒的に多くなってきます。

そういった意味で、ただ単に税金を払うのではなく、「年金という将来の自分の福祉への投資と思えば節税だよ」と、私はお客さんに説明しています。

法人化したからといって、手元に残るお金はほとんど変わらないと思っていただいたほうがいいです。ただ、「同じ払うのであれば年金部分に払ったほうが得だよね」ということですね。

信用のため

次に、「信用のため」に法人化するというケースもあります。

これは、飲食店などでは普通見られません。「あそこは法人だから安心して食べに行けるよね」、「あそこは個人だからちょっと食べに行くのやめようかな」なんてことはないですよね?小さな中華屋さんが法人の場合もありますし、まず、外観で法人か個人かは分かりませんね。

「信用のために」というのは建築業や製造業などに多いかもしれません。大きな会社と取引をするときに「あなたは個人だからちょっと信用できないな」、「内部規定で個人には受注額いくらまでしかできないことになっています」というようなことがあったりします。そういった場合が法人化するタイミングにです。

自分の会社が大きな工事を受注するチャンスが舞い込んできた際に、「法人でないと取引ができない」なんてことがあるかもしれません。そういった場合には法人化するメリットがあるといえます。

さらに、会社として実際は変わっていませんが、「法人だったら安心するよね」、「任せられるよね」というふうに思ってくれる方が増えてくれることで、見込み客が増加します。

加えて、営業もしやすくなります。「個人の〇〇商店です」と言うのと、「〇〇株式会社の〇〇です」と言うのでは雰囲気が違いますよね。

実際は、個人でも儲かってる会社はいくらでもありますし、逆に、法人でも大赤字で、「こんなところと取引したらどうなるか分からんぞ」なんて会社も結構あるわけです。しかし、その中身は知ることができないですよね。「ちょっと決算書を出しなさいよ」なんて言えないわけです。法人化しているということは、ある程度ちゃんとしていると見られますので、信用される可能性があります。

金融機関の融資や資金調達も少ししやすくなります。これは家計費が入っているかどうかが関わってきます。

個人の場合ですと、例えば、車の場合、7割は事業で3割は個人でというように、ある程度を目安按分してるわけです。そこが銀行としては結構ブラックボックスで怖いところでもあるんですね。

逆に、法人にしてしまえば、個人は個人、法人は法人できちんと分けなければいけませんので、そういった意味で、個人と法人の境目がしっかりできていて損益が把握できるということで、法人のほうが資金の調達がしやすくなります。

また、お金を借りたのが個人の場合ですと、「自分で使っちゃった」なんてこともありますが、法人の場合は、ちゃんと法人として使わなければいけないというのが基本ルールになっていますので、信用を得やすいのです。

モチベーションのため

最後に、「モチベーションのため」という場合があります。法人化すると、代表取締役か社長という肩書になり、「俺社長だぜ?」なんて言って、「合コンとかキャバクラとかでモテるんじゃないか?」と考えて法人化する人もいます。

確かに、「個人でやってます」というよりも、「法人でやってます」というほうが、さっきの「信頼」と同じで、女の子たちに「社長さん」の扱いをされるかもしれないですね。それでモチベーションが上がって、「もっと会社を大きくしていくんだ!!」と思えるなら法人化をしたほうがいいと思います。

そんなに儲かってもいないし、まだまだその段階ではないのに、そのためだけに法人化をするのはどうかと思いますが、自分のやる気を鼓舞するために法人化をするのも1つの手だと思います。

あとは、家族が喜んでくれるということも考えられます。先ほどの「信用」と一緒で、家族も個人よりも法人のほうが安心できるようです。よく奥様で、「法人だったら社会保険があるでしょ?」と言われる方がいらっしゃいます。法人の社会保険、会社=イコール自分で払っているという認識の方が多いですが、実際にそこで働いているわけではない奥様や旦那様からすると、「法人だと社会保険があって安心なんじゃないか?」という意味で喜ばれて自分の事業がやりやすくなるので法人化する、というのも1つのポイントだと思います。

ただ、法人化のデメリットとしては、赤字でも均等割りという税金がかかってきます(静岡だと最低7万1,000円ぐらい)。そのほか、自分に給料を出す時点で、約3割の社会保険料が絶対にかかってきます。赤字でも約3割の社会保険料がかかってきてしまいますので、その部分は注意が必要です。

ですから、最初に挙げたように、個人で利益が600万で続ける状態になってから法人化することを勧めています。その点に注意しないと負担が増えてしまうこともあり得ますので気を付けてください。

また、法人化すると法人税などの手続きが煩雑化するので、私のような税理士に払う報酬なども高額になってきます。

まとめ

法人化の3つのシグナルとして、

・節税
・信用
・モチベーション

この3つがポイントです。

ただ、「利益を出し続ける」自信がないとデメリットが大きくなってしまいますので、ある程度利益を出し続ける自信がついたら、ぜひ今後の事業展開を考えながら法人化をするのがおすすめです。

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