以前、個人事業主のふるさと納税額の上限額の金額の計算が結構難しいという話をしたので、今回はそちらについて説明をしていこうと思うのですが、まず、以前の講座を読んでいない方のためにふるさと納税の仕組みについて簡単に説明をしていきます。
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ふるさと納税の仕組み
ふるさと納税にはいろんなサイトがあります。そこに対して、例えば、「牛肉4キロ1万円、佐賀県」といったふうに書いてあったりして、その「牛肉4キロ1万円」をいいなと思ったら、その自治体に1万円を寄付をする。そうすると、自分の手元に1カ月ぐらいすると牛肉4キロが届くわけです。
その届いたものに対して確定申告、もしくは、給与の人だったらワンストップ特例に税務署に手続きをします。そうすると、自分が今度払う所得税や住民税などがその分安くなる、というのがふるさと納税の仕組みです。
では給与所得と個人事業主は何が違うのでしょうか?
給与所得者と個人事業主の違い
サラリーマン
課税所得に対して上限が決まってきます。給与所得の人って、正直、ほとんど給料の金額が変わりませんよね。6月、5月までの時点で今年1年の給料は全部でどれくらいかということが予測できてしまいます。急に2倍や3倍になることはほぼありません。ですから、給与所得の人は、その1年間の課税所得の金額が自分で計算すれば分かるわけです。
個人事業主
総収入金額から利益を出してそこから課税所得を出さなければならないので、6月の段階で「今年は結構うまくいってるかも」と思ったとしても、例えば、今年のように急にコロナが来て、今までうまくいっていたのに全く収入が無くなってしまうということも起きたりします。そうすると、課税所得が思っていた金額より一気に少なくなってしまいます。その場合は上限額も変わってきます。逆にいえば、「今年はコロナでだめかも」と思っていたのに、急にワクチンが開発されてものすごく売り上げが上がったとします。そうすると、もっと上限が上がりますよね。このように見積もるのが難しいのが正直なところです。あとは、どこから計算すればいいのか、以外と仕組みも難しかったりするので、その辺の解説をしていこうと思います。
ふるさと納税の控除
控除の仕組みは3段階になっています。まず1つ目が所得税、もう1つが住民税の10%で、あとはこの2つの残りになります。
①所得税の税率に基づき計算
(ふるさと納税額-2,000円)×所得税の税率
※総所得金額等の40%が上限
まず、所得税の税率に基づいて控除の計算がされます。ふるさと納税をした金額の2,000円を引いて、それに所得税の自分の一番上の税率をかけます。所得金額等の40%が上限ですが、その分がまず引かれます。
②自己負担を除いた10%
(ふるさと納税額-2,000円)×10%
※総所得金額等の30%が上限
そこから自己負担、ふるさと納税額-2,000円×10%、こちらが住民税から引かれます。
①と②の残り(住民税所得割額の最大20%まで)
(ふるさと納税額-2,000円)×(100%-10%-所得税の税率)
※住民税所得割額の最大20%まで
最後に残りとして、これは特例分ですが、住民税所得割額の最大20%まで、ふるさと納税額-2,000円×さっき引いた税率分、100%から10%を引いて所属税の税率を引きます。
その金額がふるさと納税をした金額から引かれます。ただし、上限が住民税所得割額の最大20%になっています。これを全部引くことができれば自己負担が2,000円で済みます。例えば、10万円分の肉を買ったとしても実質の負担は2,000円で済むのでお得ですよ、という話なんです。
では、個人事業主の事業主は何を目安にすればいいのでしょうか?
個人事業主の計算方法
まず、去年とそんなに変わらない場合は、限度額の目安は住民所得割額の約2割だと思ってください。
具体的な上限額の計算方法
前年の確定申告書控えと住民税決定通知書を用意する
確定申告書控えで課税所得金額を確認
確定申告書の一番右上にたぶん「課税所得金額」というのが出ていますので、そこを見てください。
住民税決定通知書で所得割額を確認
最後に、課税所得額と所得割額を次の表に当てはめて計算します。

課税所得上の所得金額がどこかというところと、住民税所得割額がいくらかということをこの表で計算してください。所得税の課税所得金額というのを左側、住民税の所得割額を右側に入れて、自分がどの金額になるのかということを確認して、あとは掛け算です。自分がどこの位置にいるか、所得割額がいくらかでこの計算式で掛け算をすると大まかな上限額が出てきます。
上限額計算の注意点
ただし、先ほどの計算方法は、あくまでも前年と同じくらいの売上・経費だった場合の上限金額の計算方法です。今年の売上が想定できないような場合ですとずれる可能性もあるので気を付けてください。
前年と大きく相違するときは、今年の確定申告書を仮で作って計算するのがおすすめです。もしくは税理士さんにおおよそのものを作ってもらうというのも1つの手です。仮の住民税の計算をする場合は、所得税課税所得の10%くらいを目安に計算していけば大丈夫だと思います。
作る時期としては、個人事業の場合は9月10月ではないでしょうか。9月10月ともなれば、あと2カ月しかありませんので大体想定はできるかと思います。そのぐらいのときに作成して、「今年はこれぐらい寄付できそうだ」という額で寄付をすればいいと思います。
ただ、産出された上限額より少し少な目な金額にしておいたほうがいいです。上限を超えてしまうと本当の寄付になってしまうので、本当に寄付したいという方は社会貢献のために寄付していただきたいのですが、そうでもないという方は、まずはちょっと少な目にしておいて、きちんと全部控除できるという範囲内でやってみることをおすすめします。

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